2019/02/26更新
Colume
堀ちえみさんの口腔がん報道にはびっくりしました。
彼女の発信は、多くの国民に口腔がんの存在を周知させ、早期発見につながることとなるでしょう。
さて私自身、歯科医師になってから10名程度の口腔がんを発見しております。20年臨床をやっているので2年に1人ぐらいの割合で発見されています。(口腔外科時代の患者は除く)
稀といえば稀ですが、生命に関わることなので、誤診だけは避けたいところです。
私の口腔外科での経験を生かし、早期発見につながればと思います。
Q1、口腔がんとは?
口腔がんはあごや口腔領域に発生するがん(悪性腫瘍)の総称です。
口腔は歯以外の表面が扁平上皮と呼ばれる粘膜で覆われているため、口腔がんの90%以上は扁平上皮がんと呼ばれるものであり、その他としては小唾液腺に由来する腺系がんや、肉腫、悪性リンパ腫、転移性がんがあります。
(口腔がん診療ガイドラインより一部改変)
Q2、発生頻度は?
発生頻度は、2005 年における口腔がんの罹患数は約6,900 人であり,全がんの約1%を占めると推定されています。
民族、国、地域、生活様式ならびに習慣によって発生頻度は異なり、他のがん同様、高齢社会の到来とともにがん罹患数は増加しているようです。
Q3、よくできる場所は?
・舌・・・60.0%
・下顎(かがく)歯肉・・・11.7%
・口底・・・9.7%
・頬粘膜・・・9.3%
・上顎(じょうがく)歯肉・・・6.0%
・硬口蓋・・・3.1%
(2002年日本頭頸部癌学会)
Q4、危険因子は?
・喫煙
・飲酒
・慢性の機械的・化学的刺激
・ウイルス感染
などがあげられるが、疫学的あるいは化学的根拠のあるものは少ないようです。
Q5、口腔がんの前がん病変である白板症のがん化率はどのぐらいか?
口腔白板症のがん化率は、日本では3~16%ぐらいです。
また、観察期間が長期になるにしたがいがん化率は高くなり、5 年累積がん化率は1.2~14.5%、10 年累積がん化率は2.4~29.0%と報告されています。
Q6、症状はどんな感じ?
初期には痛みや出血は見られず、硬いしこりか触れる場合が多いです。
なかなか治らない口内炎や、先に述べた粘膜が白く角化する白板症なども注意が必要です。
進行してくると、出血や痛みを伴いだし、食事がとりづらくなったりしゃべりづらくなったり、口が開かない開口障害がでたりします。
Q7、診断はどのように行うのでしょうか?
診断にはCTやMRI、超音波検査の他に、病理診断が行われます。病理診断には、「細胞診」、「生検」などがあります。
細胞診は口腔がん表層の組織細胞をぬぐい取る方法で、比較的簡単に採取することができます。通常は細胞の異型の程度により5段階(クラスⅠ〜Ⅴ)で評価されますが、検査者と採取細胞の条件によっては正確な評価が出来ない場合があります。
生検は局所麻酔を行って病変の一部を切除する方法で、その組織を顕微鏡でのぞき直接細胞を見る事で診断が行われます。がんの浸潤深さ、浸潤様式などを見ることにより悪性の度合いや周囲組織への拡がりを把握することが可能です。
Q8、がんの進行について
UICC のTNM 分類や病期分類がある。
TNN分類
病期分類(stage)
(がん診療ガイドラインより)